みそ汁作りを約束した父子家庭の中学生
子どもたちからのDMは最高の“報酬”
昨年から僕の講演と娘の「はなちゃんのみそ汁作り教室」を組み合わせた活動が口コミで広がり、親子で講師として招かれるケースが増えてきた。
「手伝いはいいから勉強しなさい」と育てられ、「してもらう側」から「する側」にスキルアップする機会がないまま、誰かが作ったものを買うことでしか生きていけない大人が増えている。そんな状況を変えたい。100年先の子どもたちにも笑顔でいてほしい、との思いから始めた活動だ。
今年最初に依頼を受けたのは、宮崎県小林市の三松中学校。初日は娘が担当。特別支援学級の生徒たちを対象に、昆布とかつお節でだしをとった豆腐とワカメのみそ汁の作り方を指導した。



2年生のS君は、父子家庭。3人きょうだいの長男だ。彼が毎朝5時に起きて家族の食事を作っている。ただ、料理が得意なわけではなく、いつもメニューは目玉焼き。
この日、みそ汁の作り方を覚えたS君は、僕と娘に「握手してください」と歩み寄り、朝食のメニューに豆腐とワカメのみそ汁を加えることを約束してくれた。

同学級の生徒は、人と接することや感情表現が苦手という印象を勝手に持っていたが、そんなことはなかった。
全校生徒を対象にした翌日の講演会で、S君は再び、僕たち親子に握手を求めた。交わす言葉は少ないが、しっかり目を合わせて、改めて感謝の言葉を口にした。
同学級の別の男子生徒は、講演で闘病中の妻と暮らした話を聞きながら、何度も涙を拭っていた。泣くということは、恥ずかしいことではない。つらい思いをしている人の立場に自分を置き換えて考えることができる「共感脳」が成長している証しである。

福岡に戻ると、僕と娘のインスタグラムにたくさんのDMが届いていた。三松中の生徒たちからだった。僕と娘にとって、生徒たちからのDMは最高の“報酬”だ。そして、彼ら彼女らが、「変わろう」と一歩踏み出してくれたことを心からうれしく思う。


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